岐阜大学のスゲ属

岐阜大学柳戸キャンパスではこれまでに12種のスゲ属が見つかっています。

マスクサ節
 マスクサ Carex gibba Wahlenb.
ヤガミスゲ節
 ヤガミスゲ Carex maackii Maxim.
ナキリスゲ節
 ナキリスゲ Carex lenta D. Don ex Spreng.
アゼスゲ節
 アゼスゲ Carex thunbergii Steud. var. thunbergii
 アゼナルコ Carex dimorpholepis Steud.
ヌカスゲ節
 アオスゲ Carex leucochlora Bunge var. leucochlora
 オクノカンスゲ Carex foliosissima F.Schmidt var. foliosissima
タチスゲ節
 タチスゲ Carex maculata Boott
ヒメシラスゲ節
 アイノコシラスゲ Carex pseudoaphanolepis Ohwi
タマツリスゲ節
 コジュズスゲ Carex parciflora Boott var. macroglossa (Franch. et Sav.) Ohwi
ジュズスゲ節
 ジュズスゲ Carex ischnostachya Steud. var. ischnostachya
ミヤマシラスゲ節
 ヤワラスゲ Carex transversa Boott

※学名は「BG Plants 和名-学名インデックス(YList)」に従っています。

マスクサ Carex gibba Wahlenb.

生育環境:平地から低山地の樹林内、草地、路傍

小穂はすべて雌雄性で同じ形をしています。また、苞(ほう)と呼ばれる小穂の基部にある葉が、小穂に比べて非常に長く、目立ちます。アオスゲとともに比較的よく目にするスゲの一つになります。

ヤガミスゲ Carex maackii Maxim.

生育環境:河川敷などの湿った草地

マスクサと同じように、全ての小穂が雌雄性のスゲになります。小穂の大部分が雌花で、その基部に少数の雄花をつけています。小穂が密集してついており、トゲトゲとした印象を受けます。

ナキリスゲ Carex lenta D. Don ex Spreng.

生育環境:平地から低山地の樹林内や林縁

日本に生育する大半のスゲが春から夏にかけて開花結実する中、ナキリスゲの仲間(ナキリスゲ節のスゲ)は、秋に開花結実する点が特徴的です。深緑色で硬く、細長い葉は、力強さと、しなやかさを感じさせます。

アゼスゲ Carex thunbergii Steud. var. thunbergii

生育環境:平地から山地の湿地

緑色の果胞(雌しべを包んでいる袋)と黒紫色の鱗片のコントラストが美しいスゲです。一番上の茶色で細長い部分は雄花が集まっており、そのすぐ下にある棒状の部分は雌花が集まってできています。このように多数の小さな花が集まって一つのかたまりのようになったものを小穂(しょうすい)と呼び、スゲでは花の単位として用いられます。

アゼナルコ Carex dimorpholepis Steud.

生育環境:湿地、河川敷

水際に生育していることが多く、小穂がしなやかに垂れ下がっている姿は非常に風情があります。和名は、田んぼのあぜに生え、垂れ下がる小穂を楽器の鳴子にたとえたことに由来します。上の方についている小穂が雌雄性、下の方についている小穂が雌性という少し変わった花のつき方をしています。

アオスゲ Carex leucochlora Bunge var. leucochlora

生育環境:草地

街中の草地でも見かけることのある、スゲの中では比較的よく目にするものの一つです。植物体全体が緑色であることからアオスゲの名前が付けられたとされます。鱗片の先端についている、果胞よりも長い芒(のぎ)と呼ばれるトゲ状の突起が目立ちます。

オクノカンスゲ Carex foliosissima F.Schmidt var. foliosissima

生育環境:山地のシイ・カシ帯上部~ブナ帯の樹林内

カンスゲの仲間は観賞用に栽培されることもあり、岐阜大学内に生育する本種も園芸目的で植栽されたと思われます。葉は常緑での二本の脈が太く強いため、葉の断面がM字型になります。根本付近にある鞘と呼ばれる部分が黒紫色で光沢を帯びており、特徴的です。

タチスゲ Carex maculata Boott

生育環境:湿った草地

雌小穂は灰色みがかった緑色をしていますが、乾燥すると赤褐色に変色することがあります。和名は小穂が直立する姿に由来するとされています。色、立ち姿ともに美しい、個人的にオススメのスゲです!!

アイノコシラスゲ Carex pseudoaphanolepis Ohwi

生育環境:シイ・カシ帯からブナ帯下部の明るい湿った樹林内や林縁

シラスゲとエナシヒゴクサの雑種として記載されていましたが、現在ではシラスゲの1つの型、または別種と考えられています。葉があまり白粉ではなく、小穂が垂れ下がらない点でシラスゲと異なっています。
※2023年11月時点ではシラスゲの可能性が高く、同定結果を再検討中です。

コジュズスゲ Carex parciflora Boott var. macroglossa (Franch. et Sav.) Ohwi

生育環境:平地から山地の湿った樹林内、湿地、水田畦など

一つの小穂につく雌花が数個と、他のスゲに比べて少ないことが特徴です。小型のジュズスゲということで和名が付けられたとされますが…ジュズスゲとは全く似ていません。植物体全体が柔らかく、なでると気持ちいいです。

ジュズスゲ Carex ischnostachya Steud. var. ischnostachya

生育環境:樹林内の路傍や林縁

小穂は垂れ下がらずに、熟しても直立しています。また、緑色の小穂は乾燥すると黒く変色します。和名は果胞(雌しべを包んでいる袋)が数珠のように並んでいることに由来するとされます。

ヤワラスゲ Carex transversa Boott

生育環境:平地から低山林の林縁や河川高水敷の湿った草地

鮮やかな緑色で全体に強いつやがあり、柔らかそうに見えることが名前の由来とされますが…実際にはそれほど柔らかいわけではありません。また、乾燥すると果胞が黒く変色するという特徴があります。

■ 参考文献
・勝山輝男, 2005. 「ネイチャーガイド 日本のスゲ」 文一総合出版
・Wikipedia(主に和名の由来)

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