岐阜大学の湿生・水生植物相

 日本に生育する在来の種子植物のうち、湿生・水生植物はわずか13%程度しかいません。さらに、その多くが絶滅の危機に瀕しています。減っている原因は、開発行為や管理放棄、水質汚濁、乾田化、除草剤の使用、外来植物の侵入などさまざまです。
 岐阜大学は、周囲を水田や河川(村山川、新堀川、伊自良川)に囲まれています。さらに、キャンパスの中にも鷭ヶ池、構内河川、水路、水田といった豊富な水辺環境があります。実は、現在の場所にキャンパスが移転した1980年代より前まで、この一帯は伊自良川の氾濫原後背湿地と呼ばれる場所でした。最初に紹介したような水辺環境の変化は大学やその周辺も例外ではありません。しかし、氾濫原的な環境の名残である鷭ヶ池や構内河川には湿生・水生植物がかろうじて残っています。その中には岐阜市や岐阜県において絶滅が懸念されている種も存在します。

ミズユキノシタ Ludwigia ovalis Miq.
花は小さくあまり目立ちません。水中の葉に赤みがかかるのが特徴です。鷭ヶ池と構内河川の水中や岸辺に生育しています。多年生のため、冬でも観察することができます。

ヒメナミキ Scutellaria dependens Maxim.
白色に少し紫色を帯びた7mmほどの小さい花をつけます。ナミキソウに似て、草姿が小さく繊細なため、この名がつけられました。鷭ヶ池や構内河川にわずかに生育しています。

サデクサ Persicaria maackiana (Regel) Nakai
細長いほこ型の葉や歯車のような形の托葉が特徴的です。茎には下向きの鋭い棘があり、これを利用して大型の植物をよじ登り成長します。構内水路でわずかに見られます。

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